手を伸ばしたら湿っていた闇 2.
■ 矩形のスペースに突っ伏して、枕の傍に置いた携帯が鳴り、気が付くとそれが放り投げられてあった。
ごめんね、と言いながら拾い寝癖を直す。
洗面台の顔は無様にむくんでいる。
さわやかに笑うことなど、ここ十年くらいやっていないのではなかろうか。
ま、いいんですけどね。
■ 緑坂というのは、状態のことなのよ。
とか抜かした妙齢中程がいた。
中程、ということにしておく。
こいつ昔からしゃらくさいことを言っていたが、暫く考えてから言っているんだろうなあ。カレーパン食べながら。
緑坂がそうなら、おまえさんはなんだろうね。
わたし。
わたしは毛を焼かれた狐みたいなもの。