寒椿。
 
 
 
 
■ 一体に表現をするということは、怖いものだという気がしている。
 写真であれ文章であれ、例えばデザインにしても、その本人の個性というものが滲み出ているものだからだ。
 個性というのは様々な要素の複合体であるが、元々あったものにそれから付けたし、あるいは一定の部分を削り、ひとつの方向に持ってゆこうとする。
 ひとつの方向とは狭いものではなく、一定の幅があるものだが、いずれにしても表現の背後にはその本人の実態そのものがあると思うようになった。
 
 
 
■ 植え込みのところに赤い色がある。
 それが椿であることに気づいて、それから坂道を下る。
 この道では煙草が吸えない。