送りハンドル。
 
 
 
■ 空気が粉っぽい。
 腹の立つこともそうでないこともあるが、時期を待って事務の手続きをしている。
 先日小型車の車検で、思いのほか直すところが出てきていた。定番のオイル漏れと、これまた定番パーツの劣化である。整備はディーラーに出したものだから、OEMの部品は使えない。このパーツがこれだけするのかと、しばし漠然としていた。
 距離を走っていなくても時間と共に劣化するところはあって、そんなことは分かっているのだが、諸々保険の為にやってもらうことにした。
 実はハンドルを替えたくて、そのうちボスを手に入れてナルディのウッドを引っ張り出そうかと思っている。愚かでゴンス。
 

 
■ 旧いメルセデスはボール・ナット形式のステアリングである。新しいそれと比べて一瞬のキレはないものの、滑らかに機械がオイルの中で動作しているという感触がこちらに伝わることもあって、私は好きである。
 そんなことも、同じ車に永く乗らないと分からない。5年6年、3-5万キロくらいではまだ入り口程度ではなかろうか。
 年と共にそれ程距離を走る訳ではなくなるから、例えば浮気心を出して別の車にしたところで、味の濃淡がこちらに伝わるまでの時間があるかというと、さてどうしたものだろう。
 
 
 
■ 小刻みにハンドルを送っている。
 指先のこともあるし、手のひらを使うこともある。
 時々廻してやらないとカーボンが溜まり、詰まった気分になるのだが、このご時勢簡単に廻せるところもなく、低いギヤで人気のないところをゆっくり走っている。