ファイブ・スポット。
 
 
 
■ Jazzを聴き始めの頃、つまり10代の後半とか。
 その頃によく聴いていた曲があるとする。暫く遠ざかるのだが、また聴いてみると案外に良かったり、ああここが格好いいと思っていたのだなと聞き手の自分を眺めたり、おかしな自意識の操作が面白い。
 

 
■ ケニー・バレルの定番と言われるそれもそんな感じで、旧くなったタブレットに小さなSDカードを入れ、アンプに繋ぎ、少しボリュームをあげて港の橋の辺りを走っていた。
 ツィッターのコンデンサーを替えてやればここでピアノが立ち上がるだろう。ここはローランド・ハナだったろうか。
 いつか時間ができたら半田付けでもしてやろう。内装剥がすのが面倒か。
 
 
■ トレーラーの前に見覚えのある車の後ろ姿があり、あのタイヤの太さは500Eである。 今眺めると第二次大戦のパンターかタイガー戦車のようであり、鉄の金庫が平行移動するかのような走りっぷりを思い出した。
 あれもいい車だが、私には荷が重い。延々と続く維持との闘いで人生が終わるのが目に見えているからである。
 薄暗くなってきて、テールが点いた。
 赤い尾灯がみるみる遠ざかる。