夜の陸橋の下。
 
 
 
■ 東京の外周部にいて信号で停まった。
 上は高速である。
 水銀灯のコントラストの中に、男の影のようなものが見えた。
 

 
■ 私はカメラを持っていなかった。
 昔はグローブボックスに入れていたこともあったのだが、それも退屈になったのである。
 ガラス越しに右を眺めながら、この時だけは持っていれば良かったかと薄く後悔をした。
 そうだろうか。
 
 
 
■ 都会には断片に似た光景がある。
 美しいとは決して言えないが、殺風景とも過酷とも言い切れず、誰かが暗がりで煙草の火を点け、白い煙を光の中に吐き出しているかのような気がすることもある。