四号戦車の銃眼。
■ 下して1000kmほどの新車に暫く乗っていた。
もちろん私のものではなく、代車の例外みたいなものなのだが、ただ移動の手段として都心部をうろついて終わる。
流しにいこうとか、ちょっと攻めてみようとか、一切思わないのが不思議で、愛がないものだから燃費も思ったより伸びなかった。
いつも停めているビルの駐車場の係員の方が、どうしたんですか、車替えてしまったんですかと尋ねる。
その方は見事に髪の毛がなく、黒いスーツ姿で申し訳なさそうにチケットを渡してくるので好きだった。
■ ちょっと小金持ちそうに見える。
ピカピカとして分かりやすい。パワステは多分電気で、停まってから暫くの間は白く青くLEDのポジションが点いたままである。
走ることとか曲がること、停まることについては、一定の範疇であるならほとんど問題はない。
別にいいんだそんなものは。
■ 運転が退屈で仕方ないというのは、本当は望ましいことなのかも知れない。リアやサイドがほとんど見えなくても、カメラがあればそれでいいのかも知れない。銃眼から外は見える。
私は自分の感覚がごく少数、マイノリティに近いものだということを自覚している。
それで大分損をして、いたしかたなくこうなっているという自嘲もある。
ただしそれは乾いていて、それがどうしたとも思っている。