ツバメ 2.
■ バックミラーに白い車が写っていて、丸いライトである。
あ、ORGのミニだと気づいて信号待ちでちらちらと眺めていた。
白とは言っても国産のような純白ではなく、乳白色に近いそれである。
メッキの状態もよく、半分はレストアされたものだろうか。
■ 水冷になって久しい917あたりなら、セカンドでORGミニの最高速が出る。
調べもしないで書いているのだが、恐らくはそんなものだろう。
純白の917や最新のそれをよく見かけるが、はぁそうですかという按配で、不思議に欲しいという気は起きない。
全く音のしないアメリカの電気自動車も、くれると言われればVWビートルのクーラー付きの方がいいなと思ってしまうのは問題だろう。アメ車だとコルベア辺りか。更に問題だ。
■ いつだったか、古い文庫を捲っていて、大藪春彦さんと吉行さんの対談だった。
吉行さんは当時最新のVWビートルに乗っていて、首都高速でくるりとスピンをしたという。多分出来たばかりの環状線、C1でである。
それに対し大藪さんがメカの解説を延々と加えていて、旧いメルセデスのサスとビートルのそれが似通っていること、ジャッキ・アップ現象が起きて突然オーバー・ステアに変わること。終いには日産のR380のエンジンの解説までに至っていた。
吉行さんに、もういいよ、と制されて素直に聞いている大藪さん。
今思い出してもにやにやしてしまうのだが、メカの話というのは大体がそんなものである。