月の音 3.
■ 山あいの国道で、月を眺めたことがある。
降りてくると平野で、近くに川もある土地だった。
食事を、と思って捜しても店がほとんどない。
ラーメン屋の看板が出ていたが灯りは点いていず、店仕舞して随分になるのだろう、ビニールの周辺の紐がほどけていた。
自販機だけが残っている。
■ こうしたところで生まれて暮らす。
隣の民家まで歩いたらかなりありそうなところだ。
出ていくもよし、戻るもよし。
ありきたりの気分が浮かんだので、少し疲れたのだと思う。
ようやくコンビニを見つけ、いつもと同じものを選び、広い駐車場で立ちながら口に入れた。
虫がいる。
月の音もする。