口笛のきこえる波止場 4.
 
 
 
■ 天現寺の辺りの路肩に、964のカブリオレが駐まっている。
 私立の小生意気な半ズボンのガッコの斜め前あたりである。
 近くにあるとんかつ屋は味の割りに値段が高く、泉岳寺近くの滅びていった寿司屋にも似て、そういうものかと眺めていた。
 

 
■ 964は、まっすぐ走らせることしか私はできない。
 随分と前、中央高速を下ってきて、小雨になった。
 下ると書いているけれども、いわゆる東京方面へ急いでいるという意味であって、その界隈は流れである。
 
 
 
■ カレラの2だったものだから、一定の速度以上になると前が軽くなる。
 実際に前輪が空転している訳ではないのだが、少しばかり手に伝わる感触が出産から一年くらいの伸び縮みにも似て曖昧になるのだった。
 そこで灰皿を投げないでください。