Speak No Evil 2.
■ ふりむいた野良犬の写真を撮った方、といえば分かる人には分かるだろう。 シリアス・フォトの第一人者が写真集を出されていて、コアなファンはおられるようだが、ちらりと眺めた限り、数はそれほど出ていなかった。
それ単体だけを取り出せば、コストは回収されていないだろうと推察している。
別の方の静かなモノクロームの焼き具合に、実際は何日もかかっているだろうことも、サムネールを眺めただけで分かった。
■ あそこにはサンプルという立ち読みの機能があって、冒頭の数ページを完全な形で見ることができる。
端末でいくつか落としてみたところ、これはと思った写真家の作品と、高度な余技でなされている方との間には、些細だけれども深い淵のようなものが横たわっていて、その違いは私にとっては圧倒的だった。
例えば使われているフォント。そのカーニングひとつとっても、言葉は嫌らしいが、いわゆるProの手が入っているのである。
■ そうしたものをどう捉えるか。
ここで話は戻るのだが、優れた写真集は高くてもいいと思っている。
そう数が出なくても、いつか余裕があった時にエイッと買ってしまうかのように、そこにあるだけでいいのではないかとも考えている。