冬の人魚に会った 6.
 
 
 
■ ある種の狭量さのようなものがあるとする。
 あたかも、ヤッピーに憧れていてなれなかったカップルが、遅れてきたそれを実践しているかのように、生活そのものが薄く虚構化してしまう。
 いびつだな、とは思うのだけれども、それに憧れているひとたちも一定数いるのだから分からないでもない。
 

■ 近くの公園に犬を連れたご婦人がくる。
 見覚えのある顔で、見覚えた時から皺が増えた。
 そんなことを言えば界隈はそんな顔ばかりで、大胆に通りを渡っていったあの方を最近見かけない。
 
 
 
■ 誰がどこにいても知らん顔をする。
 最近は皆スマホを見つめているから、案外楽とどなたかも言っていた。