夕日の丘 2.
■ 裕次郎が格好良かったのは、太る前である。
「黒部の太陽」とか「栄光への5000キロ」辺りになると、薄く眉や瞼の辺りに化粧を施している気配もあって、そう深刻ぶらなくてもいいだろうにと思ったものだ。
■ 64年の「夕日の丘」という映画は「俺は待ってるぜ」のリメイクに近いものである。映画それ自体はどうということもないのだが、歌は今でも愛されていて、私も時々歌わされる。
昭和の中頃、ガタガタ揺れるボンネット・バスと、どのバスにも乗っていた女性車掌。
その襟ボクロが別れた女(ひと)に生き写し、というのだから僅かに色っぽく、大人の間柄だったことを暗示していた。