残るセーターと人魚 3.
 
 
 
■ 昔、赤坂だか銀座だかに呼ばれ会合というかなんというかをした。
 あれこれ意見を求められたわけである。
 

 
■ 中心的な方が先輩筋だった。
 たいへんに弁舌爽やかで、次期役員か社長候補と称されていた。
 時の風向きでやや外れ、傍系のところに配され、今は単身赴任をされているという。
 雌伏しながら次の展開を計ろうとされていたのか、動きが少しばかり政治的になっていた。
 
 
 
■ その後選挙事務所から挨拶文が来て、こういう場合はドウシタラヨカロと、タウリンの詰め合わせを送ったような記憶がある。
 日本酒ほど古典的ではなし、軽薄な奴だと思われたか、もしかするとこちらの名は伏せていたかもしれない。それくらいの間合いである。
 何を話されていたか忘れたけれども、その時赤坂か銀座の座敷のようなところで、靴下に穴が開いていたことを鮮明に覚えているのである。