冬の果て 4.
 
 
 
■「月山」の中にこういう描写がある。
 
「わたしたちはすでに冬の果てともいうべきところに来ながら、それがいわば冬の頂であって、依然として冬であるかに見えるそのために、果てとも思えずにいるのかもしれません」(「月山」文春文庫版:80頁)
 
 
 
■ ま、そういうことだよな、と思いながら空を眺めている。
 背の高い樹の上に鳥がいて、忙しく枝を渡っている。