砂の岬。
■ 某月某日。
前にも同じタイトルを使っていたが、そこは流れである。
このところ気分が悪く、昼間の厄介の後ではかなりくたびれていた。
いろいろ予兆のようなものがある。
■ 池島信平さんの「雑誌記者」(中公文庫)が何故だか分からないがその辺りに置かれたままになっている。これは何時買ったものか、奥付けを眺めると1977年に出版されたものだ。
すると古本で買って手許に置いておいたのだろう。あの頃君は若かった。
また、池島さんが中央公論に書かれたのが1958年とある。昭和33年。東京タワーが建った年である。
私は、普段というか伝統的にそれが見える辺りをうろうろしている訳だが、芝公園の紅葉は、黄昏たセントラル・パーク北のようで独特の空気がある。
家のない男たちが数人、植え込みの中に棲んでもいるのだが、最近の彼らは一様に身奇麗にしていた。
■ 髪を上げた妙齢中ほどが連れ立って歩いていて、上質なコートを着ていた。
フェイクではない真珠が目立つ。
近くにあるホテルで式があったのだろう。化粧がやや定番のものである。
銀杏の歩道を歩く彼女の靴から足首が撮れればいいなと思ったのだが、今の世の中、そう簡単でないのはご存知の通り。
手順を踏んでいかねばならない。