EROBERER, 1930 - PAUL KLEE.
 
 
 
■ 週末に資料の棚からDVDを取り出して眺めていた。
「我が闘争」(Mein Kampf)という1960年にスウェーデンで製作された映画である。「意志の勝利」とともに何度か観たことはあったのだが、今回は前半部分が興味深かった。
 ナチに心酔していった市民の顔つき。その生活。
 どういう層がナチを支持していったのかを分析した書籍があったと思うが、すぐには出てこない。
 
 
 
■ 美術にすこし興味のある方ならナチの「退廃美術」という言葉をご存知だろう。その対極にあるものとしての「大美術展」。つまり国からお墨付きを貰った作品群ではあるが、今眺めるとほとんど戯画といって良い代物である。
 満州でも八回に渡って各方面の美術家を育成しようとした展覧会があった。
 いわゆる「満展」である。
 作品の多くは散逸し今見ることは難しいのだが、その名簿に今は故人となった知人の名前を見つけ、成程と思ったことがあった。
 
 
 
■ 表現というのは時に時代の風潮、端的に言えば為政者の志向とぶつかる。
 そこでどのように処していくのか、自分の中にあるいくつかの側面を検討しながら、時間ということを考えている。