Blues in Orbit 2.
 
 
 
■ マッカーシーの全盛期は短かった。
 ハリウッドのB級ハード・ボイルド映画に出てくる探偵にも似た風情は、テキサスやその他の土地のブルー・カラーに支持された。
「不良性のある少年聖歌隊」のような笑顔には、どこかしら無邪気さがあり、酒の瓶とポーカーが似合った。
「いい奴はビリになる」というレオ・ドローチャー(野球選手)の金言は、マッカーシーを支持した層の好みに合致しており、彼らは彼を自分のチームの一員と認識していたのである。
 
 
 
■「煽動政治家は不平または過ちをみつけるとそこにつけこむ」
 マッカーシーは酒によって死ぬ。
 50歳になる手前である。
 当時流行っていたミッキー・スピレーンのいくつかの作品を、今手に取ることは少ないけれども「裁くのは俺だ」と銃をぶっ放す探偵像には、同性愛の傾向があると後年指摘されていた。
 R.H.Rovereが書くように、生前のマッカーシーにもそれはあてはまった。