Blues in Orbit.
■ 薄い雨である。
虎の門から赤坂へ抜けて、そろそろブルゾンが要るかと思った。
ロビー辺りに知っている方がいて、互いに会釈をする。
■ いつだったか「マッカーシズム」(Richard H.Rovere)という本を読んでいた。
文庫で求めそのまま放ってあったものである。
何を今更、という気もするのだが、カポーティのことなどを調べていたら思い出したのである。
映画の世界では「ハリウッド・テン」という言い方があるが、その素になっていた人物、ジョセフ・レイモンド・マッカーシーについて雑誌「NewYoker」のジャーナリストがまとめたものである。
どちらかといえば社会学的考察ではなく人物評論に近い書き方だった。
■ 問題は外側にあるのに、内側に敵を求めたという指摘が面白かった。
中心的現実から逃避したのだと Richard H.Rovere は書いている。
デマゴギーというか、煽動型の人物には共通する特徴がある。
政治家に限ったことではなく、ジャーナリストなりなんなりでもそうだが、どうすれば時の大衆に受けるのかを本能的に嗅ぎ分ける。演ずる。
時の支配階級が比較的上品そうに見えるとき、ある種の粗野や逸脱は魅力的に映ることもあった。
意識化で不満分子の集合体を作り上げることができるのである。