トローと保守。
■ あれもこれもできる、ということは、裏を返せば、実は不安定だということである。
様々なものの組み合わせでかろうじて動いているシステムは、その中のひとつのバージョンが変わっただけで全体が動作しなくなる。
半日かけてテストしていたあるCMSでは、デザインをレスポンシブルなものに替えたとたん、組み上げていた肝心なところが表示されなくなった。
成程ね、対応してないわけだ。
カスタマイズすれば可能なのだろうが、それだけで三桁の世界に入る。
サーバーから全部破棄し、この件には使えないとメモを書いて終わることになった。
トローである。
■ ライアルの「深夜プラスワン」で、シトロエンのDSのオイルがじたじた漏れ、次第にハンドルが重くなっていく描写がある。DSはATからサス、パワステまでのオイルが共通なのだ。電子制御ではなくオイル制御。細い配管で管理する。どう考えても壊れやすいですね。
英国人のライアルがDSに乗っていたか調べてはいないが、確かDC3、ダコタが出てくる小説があったので、メカには煩いものと見ていいだろう。
DC3というのは、双発の飛行機であります。
そう尖った性能ではないのだけれど、戦後、長く南米などでも使われていたところをみると極めつけにタフなのである。
ひとつふたつプラグが死んでいても大丈夫。双発のエンジンが一基残っていれば飛ぶ。オイルの種類だって選ばない。
ライアルのメカに対する好みは、裏庭で自分の車を整備することが当たり前の世界からくるものだった。
保守的といえば言える。