スープ 2.
 
 
 
■「夜の魚」一部の一節である。
 何時だったか海の近くの黄昏たホテルというかなんというかに篭った時、私はスープを持っていった。
 缶詰のそれである。
 日本橋の本店というところで、来るべき日のために買い求め、備蓄しておいたものである。
 運搬の途中で缶が凹んだりすると、少し安くなっている。
 これはお得だと思ったものだ。
 
 
 
■ 夜更け、ビクトリのあれもこれも付いているナイフで缶を空ける。
 脂のようなものが浮いていて、火がなければ食べられない。