スープ。
■「わたしにいうことはないの」
「ある」
「なによ」
「手当したのか」
「シャワーも浴びてないわよ」
ここを出ることにした。晃子は身仕度をする。ぱさりとガウンを降ろすと背中を向けて風呂場へ入った。傷を避けて流すのは難しいだろう。
女の支度は時間がかかる。棚と冷蔵庫を開き、私は簡単な料理をつくることにした。タマネギのスープだ。
隣の部屋で髪を乾かす音がする。車輪のついたスーツケースを持って、晃子がでてくる。
「あなたが持つのよ」
私がうなづくと、晃子は濁ったスープをすすった。