大師のデミオ。
■ ただでさえ雨だ。
東京に戻り数日経ち、私は電車に乗っていた。
ひとつふたつ乗り換えをする度に外の風景が違う。
乗り込んでくる乗客の姿かたちも微妙に変わってきて、太っているか痩せているか、その痩せ方に不思議な味がある。
窓からは灰白色の建物が低く並んでいるのがみえる。
停まる度、駅の看板が面白い。
どうなのか、駅から歩くには少し淋しすぎるかもしれない。
■「青山と池袋はアラスカとコンゴくらい隔たっている」
と書いたのは関川夏央さんである。確かほんまりうさんの絵によるものだった。あのシリーズは、バブル期を通過してきた連中に根強いファンが多い。
け、てな按配で牛丼を週に何回か食べ、安酒を飲んでいた覚えがある。
池袋の先ならどうなるんだ。
川崎の手前ならこっち側なのだろうか。
そんなことを考えるまでもなく、電車は進むのである。