青のGimlet 7.
■ 漠然と立っていると隣の紳士に声をかけられた。
さっきまでステージにいた彼女と話していたからだろうか。
よお、綺麗になったね。
兄さんごにょごにょ。うん、またね。
■ 紳士は私を見上げ、確かそうだったねと、うまいところから間合いを取られた。
は。素顔は大分違いますがいい子です。
ぼかぁね。と紳士は名刺を下から取り出される。流れるようにスムースな仕草である。
誠に失礼いたしましたとこちらも倣った。
ぼかぁ、ここにいるから。
濃紺の背広は生地がよく控えめで、そこで真に受けるのは野暮なのである。