青のGimlet.
■ 某月某日。
財界というかそちらの方面の会合に招かれスーツを着た。
なぜ私がという気も幾分かはあったけれども、ある方面から眺めると一定の枠に入るんではないですかという声もあって、そういうものかなと理解した。
革底の靴を用意する。ワイシャツの袖にアームをつける。
取り出すと左右がばらばらで、片方だけが緑色である。もうひとつはグレーか。
パンツの裾は太い。流行の形を持っていないのである。
■ 坂の奥まったところにあるホテルの喫煙所は車寄せの傍にあった。
受付を済ませてからボーイに尋ね、持参した水を飲みながら漠然としている。
出席者名簿を眺めている男たちが何人もいて、軽く会釈をする。
車寄せの近くだから、女性は立ち寄りにくい。
ハイブリッドのメルセデスSのトランクを開け、上着を入れているのはドライバーなのだろう。
向こうにある黒い漆器のような色の車はセンチュリーの新しいものだった。
マイクで会社名が読み上げられている。