五月闇
     俺のことなら放つといて。
 
 
 
■ またこんな時間である。
 このところ詰めた仕事が続いて、日々すれすれである。
 この「すれすれ」というのは、吉行さんが確か週刊誌に連載されていた小説で、今読み返してもどうということはない。都市の風俗小説と申しましょうか、昭和30年代中ほどの東京の夜の街を描いたものだった。
 白タクとかハンカチタクシーとか、色々と出てくる訳であります。
 
 
 
■ 都市の夜を流れるという風情は、大人になりたがっている年頃にはたいそう魅力的に映るものだけれども、ま、どうってことはないというか、舞台裏は舞台裏である。