カストリ時代 4.
 
 
 
■ 結局、皿は嘗めた。
 指ですくってそれをしゃぶるのである。
 んまいなぁこれ、と感心していると、黒服がこれも嘗めてみますかと別のものを出してくる。
 とっとと名前を忘れてしまうところがいけないのだが、取材ではないのだから、メモを取るというのも野暮だろう。
 私は銀のスプーンを咥え、漠然としていたのである。