終幕の思想 3.
 
 
 
■ 女であるということを、一回女形の気分になって翻訳してみた芝居。
 というようなことを、八重子さんについて、とある歌舞伎役者が書いていた。
 武智歌舞伎で一躍時代の趨勢に乗られた女形の方が、まだお若い頃の対談で記されたものだと記憶している。
 つまり、どこか距離を置いた芝居だったということになろうか。
 言葉を変えれば、対象化ということである。