目玉 7.
■ 右目を忙しく使いながら眺めていると、吸い込まれるかのような瞬間がある。
親指と人差し指を廻しながら、ここという時にシャッターを押したつもりではいるのだが、カメラによっては僅かなズレが生じ、彼や彼女は瞼を閉じていたりした。
ところが後で眺めると目尻の小皺がいい。
■ ああこれはいい役者になるかもしれないな。
と思える刹那があったとする。
脇に控えてはいるのだが、そこだけウスぼんやりと光が当たっていて、ちょっとばかりは不思議だ。