青い映画の話。
■ ヘンリー・ミラーにそうした短編がある。
吉行さんが訳されたかのように記憶している。
妻帯者、もしくは長い相方がいる大人というか中年以降の男性でなければその価値を見出せない作品であるかも知れない。
ミラーといえば「北回帰線」「南回帰線」など、欧米人の体力にものを言わせた無頼の日々を綴った作品群が知られているが、あれを今読み返せと言われたら多分2ヶ月はかかる。
丹精こめた霜降りの牛肉は少しだけ食べるのがいいのであって、後は素麺か蕎麦で数日を過ごそう。
■ そうしたことを書こうとしたのではなかった。
映画について言えば、ワイズ出版が相当マニアというか、これはそう売れそうもないよなという良著を何冊も出している。
もうすこし省いても、つまり編集が入ってもいいのだろうに、と思うのは外野の常で、資料的な価値といえばなかなかのものである。
監督こんなこと書いていいんですか、という按配。
私はそうした映画版ガロの世界が好きで、時々矩形のスペースに寝転がっては捲っていた。
■ 華やかでないもの。
お酒の宣伝に顔を出さないような方。
いわゆる黒子の世界なのだが、こうした立場からの視線というのは、まだまだ活字の世界にはあって、検索をいくらかけても出てはこないようである。