衛星の西 2.
■ 兵というのは大体貧しい。
階層上昇の装置、または受け皿として軍が機能しているという側面もあって、それはどの国でも本質的にそれほどの違いはない、と私は苦く疑うことがある。
かつての日本もそうだった。具体例をあげるのはやめておく。
「我等の生涯の最良の年」というウィリアム・ワイラー監督の映画があったが、これは第二次大戦帰還兵のお話である。1946年。
この時はまだ徴兵制だった。勝った戦争ですら、戻ってくれば恋人が違うところをむいている。
■ コーテは23歳数ヶ月で行方不明となる。
数年経ち、その遺体がみつかる。
MP3をシャッフルにしてモトローラの無線機に向かって陽気に喋り続けていた若者は、週80ドルでホンダのディーラーに勤める母親の元にようやく戻ることができた。
立場は民間人であるから空砲は撃たれない。