数寄者。
■ 舶来のブランデーを飲んでいても、舶来の小便が出るわけではない。
国産である。
そんなことを思い出しながら続ける。
タイアには製造年月日と生産国とが記載されていて、メーカーに直接尋ねると実はそれ以上の情報も記されてはいるのだという。内部構造のようなものだ。
恐らくは黒っぽい背広を着ているだろう方と、私は電話で何度か話した。
本当にこの人、車が好きなんだなという気配が伝わる。
製品に誇りを持たれているのである。
見ず知らずの私に、最後のところで、こう、グリップが粘るのですよと力説をされる。
■ こういう体験をするのは、例えば銀座にあるカメラのサービス部門に、メンテや問い合わせをした時くらいのものだ。
販売しているフロアの、妙齢や尖った靴を履いている方ではない。
あるいはやや古い時計をオーバー・ホールに出し、この年式のこれはこうですので、とさらに大事にするようお達しをいただいた後のような感じだろうか。
たかだかタイア。
消耗品ではあるのだけれども、背後には様々なものがあって、それは今の社会のどこか滑稽でにがい縮図である。
私は東京の外れまで、なにを確認しにいったのだろう。
分かってはいるが、公にするのも野暮だろう。
■ ちなみに、タイヤとタイア、どう書くべきなのか。
古いCGのテストリポートに小林さんが「タイア」を使われていて、今回はそれに従った。
4.2リッターのXJ-6の時だったと思う。直6の方である。