東北の鬼。
 
 
 
■ 確かそういう本があった。
 随分古いもので、どちらかといえば民俗学に属するものだったように記憶している。
 定期的というのはおかしいけれども、東北のことが気になっていて、少しばかりネットで眺めたりしていた。
 ひとりの若者が400のバイクに乗りリアス式海岸の辺りを旅する。
 見事に何もない、津波の跡の村や町である。ここからは道が途切れると。
 若者は危険区域20kmというところまで近づいたりしていた。
 馬鹿な奴だな、とは思うのだけれども、いてもたってもいられないから乗るのがバイクや単車乗りというものである。
 したり顔で語ったりせず、ただ見てきたというだけ。
 意味は後からついてくる。かも知れない。何年か過ぎて。
 
 
 
■ 都心部にいて仕事というかビジニス(誤植にあらず)に携わっていると、何かを割り切ろうとする働きがあることに気がつく。
 話している最中にスマートフォンをいつも触っている彼、衝撃吸収のためのケースが薄汚れていたりすると、ちらりと違和感がある。