天下国家と緑坂。
 
 
 
■ オクターブ高いものがどうも苦手である。
 コピー書くんだから、スローガンもいけるだろうと言われることもあったが、それもまた定番の技でしてね。
 瞬間的に注目を集めるような、例えばネット上ではSEOという寂しい技術を応用すればいいのだった。
 
 
 
■ 東京タワーの界隈は空き地が多い。
 鬱蒼とした森というかなんというかがあり、私は時々路肩に車を停め、漠然としたりする。
 何時だったか機動隊がいて、この部隊は千葉方面からの動員らしいのだが、目の前の道路を封鎖している。
 あ、車出さなきゃいかんですか。
 いやそういうこともないですが、暫く騒がしいです。
 と、まだ若いだろう肩の数本線が言う。
 
 
 
■ 角の辺りから、マスクに真っ黒なサングラス姿の方々が歩いてくる。
 市民である。
 ぞろぞろと繋がり、途切れることがない。
 数歩離れた辺りをつかず離れずついて廻る小太りの男がいて、彼は記録係だろうか。