残花三昧 5.
 
 
 
■ 本当はカメラを持たず旅をするのが一番いい。
 昔はそうしていた。
 意味なく峠を走り回り、その後の食事代にもことかいた。
 そのとき視界の隅に入っていたものが、時を経てちらちらと浮かび上がる。
 満開の桜より、散りかけがいいよな。
 もう葉が出てる。なんてこったい。
 そのタイミングを待つために、数日待機するということになれば道楽か仕事である。