助六由縁江戸桜 6.
 
 
 
■ シラざあ言ってきかせやしょう。
 と、全く関係のない台詞が口をつく。
 おそらくは春だからである。
 
 
 
■ 私はいつのまにか川っ傍近くまで迷い込んでいた。
 街道があるといえば言え、この先は「青べか物語」の舞台になった辺りである。
 寅さん映画第一作で出てきた船宿。
 あんな階段が今もあるのか知らないが、昭和40年前後の邦画には水辺の風景がよく出てくる。
 贅沢にもレールを引いて、クレーンで撮っているのだ。