「緑色の坂の道」 kitazawa-office

　　　　ウナ・セラディ・東京 4.
　
　
　
■　当時私は金がなく、磨り減ったタイヤで尻が流れる。
　フロントが流れたらもう終わりで、幸い、そこまでのことはほとんどなかった。
　怖いのはトンネルに入ったばかり、路面の状態が変わる時である。
　三桁の速度でツーと横になるのは、ちょっとしたスリルというか、愚かというか、良い子は真似をしてはいけないことなのだけれども、単に人生に苛立っていたからである。