霞かな 6.
■ 映画の作り方というのは変わった。
町おこし地域おこしという、広告の世界では私が若造だった頃から言われていることが駒を進め、最後は高速のインターで包装紙を換えた饅頭を売ろうかというところまでに至る。
そうなれば大成功である。
市民の方、みんな出てね。ロケハンはまかせてね。
そうでなければ作れないのだと友人の監督も言っていた。その通りである。
■ 昔「赤毛」という映画があったけれども、これは赤報隊のお話だった。
監督は岡本喜八さんである。
岡本さんの代表作というか、巷間知られているのは「独立愚連隊」シリーズだろうか。
今眺めても強烈で、半ば執念のようなものが反骨のアクション娯楽として結実した傑作だった。私はこういうのに弱い。
合言葉は、バーロー。
その岡本さんがどうしても作りたかった映画が「赤毛」だったという。
維新の欺瞞性、ただ権力が横滑りしただけじゃないのか、俺たちは皆騙されていたんじゃないのかという問いを、明治100年で浮かれている昭和に問うた作品だった。
■「ほかいびと ~ 伊那の井月」の監督、北村さんは民俗映像学の先駆者である。
「日本民俗映像学の会」で読者は検索していただきたい。
渋いサイトが出てくるのだが、中にとてもいい論文が載っていて、ああ、ここからこられているのだろうなと私は思った。