木村伊兵衛の「秋田」3.
 
 
 
■ 木村さんは下町の不良だった。
 50前に脳梗塞になってしまった土門さんとは何処か対極の位置にある。
 土門さんの評伝を読んでいると、言葉が不自由になられてからの口伝は、何故かは知らないが棟方さんの対談を思い起こさせる。
 感激屋で若い頃は貧乏で。その癖力んで、省くことをせずに仔細に浮き立たせる。
 
 
 
■ 一部報道の方々を除いて、大体写真家というのははみ出し者が多いのだろう。
 ブレッソンもそうであるし、女を撮らせたら天下一品の諸先輩諸氏もその通りである。
 母の面影を訪ねたり、若い妙齢と再婚したり。
 ふと思うのだけれども、金子光春さんは晩年写真に凝られていたというが、どうしたものだったろう。