セリエA 3.
 
 
 
■ 一時の乃木坂界隈あるいは六本木の裏手あたりにいくと、デザインやら写真の事務所が点在していた。いわゆる業界と呼ばれる分野に生息する方々が、ややマニアな車やバイクでてろてろと集まり、打ち合わせをしたり奇妙に綺麗な妙齢と食事をしていた。
 当時は路駐が今ほど厳しくなく、例えば飲酒に対しても社会的な目がそれ程でもなかったからなのだろう。
 赤坂の、とある通りの界隈もそうである。
 勿論微妙に職種は違っている。
 若造だった私は、その姿を羨ましいと思っていた。 
 
 
 
■「西巣鴨と青山はアラスカとコンゴくらい隔たっている」
 と書いたのは、ほんま・りうさんの絵の時の関川さんである。
 極めて至言で、緑坂には繰り返し書かせていただいた。
 で、関川さんのハードボイルド小説は、独特の垢抜けなさが魅力といえば言える。