北のうねり 2.
 
 
 
■ ジョック・ヤングは、ロスの白人中産階級の生活が、英語を充分に話すことができない移民達の手で賄われていることを指摘していた。
「かつて先進国は鉱物を搾り取っていたが、現在はケアを輸入するのである」(前掲:181頁)
 
 
 
■ 誰かが自己実現を図るには、ちがう誰かの不可視的労働が必要になっている。
 私たちは配達人の顔を覚えていない。守衛や夜警の顔もである。
 釣りを渡される際の言葉のニュアンスに気づいても、名札を確認したりはしない。
 場所にもよるのだが、休日の公園近くを歩いていると、すこし眼のつりあがった彼女たちがベビー・カーを押している。
 耳にイヤホンを挟みながら、別の子どもをあやしているのだ。