酒、返すよ。
 
 
 
■ 前の店で頼んだペルノの味が変わっていた。
 棚に置いてあった、というだけだろうから仕方ないのだが、生で口に含んでもちっともピリリとこない。完全に抜けている訳である。
 中にいるのは背の高い、気のどこか弱そうなバーテンである。
 バーテンと呼んでいいのか、チョッキは着ていず、その代わりに流行のパナマ帽を被っていた。
 むれるだろ。
 ええ、時々風を入れないと。
 これ、悪いけど黄緑の水になってるぜ。
 え。
 彼は複雑な笑いを浮かべている。