排除型社会 5.
■ ヤングの著にはこうあった。
エリック・ホブスホームの『極端な時代』からの引用である。
「わたしたちの時代ほど<コミュニティ>という言葉が見境なく用いられ、意味を失った時代はない。というのも、社会学的な意味でのコミュニティは、ここ十数年のうちに、もはや現実の生活でほとんどみられなくなったからである(1994,P.428)。
男性も女性も、自分が確実かつ永遠に所属できるような集団を求めて、世界をさまよっている(略)。
そしてかれらがみつけるのは、自分に何らかのアイデンティティを与えてくれる集団(アイデンティティ・グループ)である(略)。
人々は何らかのアイデンティティ・グループに所属することを選択するのだが、しかしその選択は次のような強い確信にもとづいている。それは、当の個人にはまったく選択の余地はなく、そのグループに所属することは最初から決まっていたのだという確信である」(前掲:「排除型社会」:415-416頁)
■ 同書では「選択する」というところに強調の丸印が付いていた。
さまよえるオランダ人というワーグナーのオペラがあるが、ひとは現世と違う場所とをいききするのである。