薄い乗り味。 
 
 
 
■ で、今W204のCに乗っている。
 コンプレッサーのついたAvantgarde.色は派手めのもの。
 山の手の奥様が喜びそうな仕様で、大体の所用をそれで済ませている。
 もちろん、郵便局にも近場のスーパーにもいく。
 カメラバックや仕事の道具を後ろに放り投げてあったりした。 
 
 
 
■ 乗ってどうか、といえば、ハンドリングが過敏である。
 不自然に、という言葉を付け足したくなる程だった。
 メルセデスが「アジリティ」という聞きなれない表現をするようになって暫くになるが、この車では指先で車線変更が安易にできる。やる気になれば、品のない走りも簡単ということだ。もちろん、味も素っ気もないスーパー・チャージャーの音を気にせず、ティップシフトで下のギアを選んでやればの話である。0-100kmは10秒を切るくらいだろう。ブー。
 脚はというと、第三京浜の例のS字で結構踏めたので追従性はいい。だが、ガツンとブレーキを踏むと車がガタガタッと揺れた。ブレーキの効き自体は普通。しかし明らかにオーバー・サーボである。タッチとコントロール性は誉められたものではない。
 乗り心地はAvantgardeということもあって、感心するという程でもなかった。2万少し走ったそのCは、タイヤが半分程度に減っている。細かな突き上げもある。
 シートは皮に似せた塩化ビニールで、ポジションは一発では決まらなかった。
 皮に似せているのはステアリングも同じである。ご丁寧に縫い目までがフェイクであり、これには正直かなり呆れた(#1)。内装には薄いメッキが多用してある。スワロフスキーを標準でつければいいんじゃないかと思える程だ。
 ダッシュの質感は、数年前のVWやアウディにはっきり劣っている。
 また背後に太陽があると、メーター・パネルの中が読みにくい。私は一瞬プラスチックが曇っているのかとウェスで拭いてから気づいた。 
 
 
 
■ なんとも言えないが、薄いのである。
 ボディもシャーシもその味付けの仕方も、分かりやすく豪華で分かりやすくスポーティなのだが、奥行きというものが乏しい。10分もすると飽きてくる。
 これで確か500近くするのだから、感慨深いものもあるのだけれども、動く家電というか最新のスマホを操作しているような気もしないでもない。
 が、一般にはおおむね好評で、これどうしたんですかと妙齢に何度も聞かれた。
 ううとか、ああとか答えている。
 
 
#1 訂正。後で調べると「皮巻」とカタログにある。フェイクではなかった。
軽く爪を立てその戻りを眺めていると、どうも本皮であるらしい。