流行のアンバイ 2.
■ 90年代半ばの車雑誌に掲載された写真には、車の助手席にワープロが置かれていた。 あるいは小型のパソコンである。
どこでも原稿書けるぜい、という風情で、情報化社会を生きるデキル男を演出する小道具のひとつだったのだ。電子辞書と。
そのときの車は、何故だかわからないがBMWが多かったような気がする。
■ しかし、実際試みた方はお分かりだろうが、車の中で原稿など書けるものではない。
酔う。暗い。ハンドルが邪魔である。
大体電源どうするんだ、という心配もあるのだが、撮影のプロというかスタイリストは、ケーブル類を一切見せない構図をとっていた。
後ろから懐中電灯で陰影などつけていたのである。