ゴースト。
■ 千葉へ向かう辺り一帯は埋立地である。
高層マンションが連なり、建築中の囲いには都心へ何分という広告に、合成された緑の強いパースの俯瞰図が載っている。これを描くには専門のソフトが要る。
ある夜のことだ。
先の広いサンダルを履いた母親が通りを渡っていた。
横断歩道のかなり手前でそれを認め、私はブレーキをかける。
後ろ5メートルの辺りを、小さな女の子がついていく。
まだ手を引かねば危ない年頃である。5つにはなっていない。
■ 節電で街灯はぽつりぽつりとしか点いていない。
母親は携帯の画面を見ていた。腕に白い袋を提げ、指先で入力している。