薄い六月。 
 
 
 
■ ゆっくりと社会が壊れている感覚がある。
 いや、前からなのだと囁く声もあって、バブル以後の20年がこういうかたちになったのだよ、とあるジャーナリストが言っていた。
 は、と私は答えたが、ではそうでなかった時というのはあったのだろうか。
 昭和や大正。それ以前も、そんなに確実だったのだろうか。
 私たちは知らないだけで、いつもどこかで誰かが飢えている。
 名も知れず死んでもいる。
 そして、こう書くだけではどうにもなっていない。