さらば冬のかもめ 6. 
 
 
 
■ NYの駅で。
 ネィビーの募集をしていた。
 ボールペンをくれる。
 時々ボタッと落ちるような、筆圧の必要なそれである。
 セントラル・パークには若い水兵達が遊びにきていて、眺めているとまだ子供である。 
 
 
 
■ ニコルソンの映画の中で、護送してゆく若い兵士の実家はいわゆるプア・ホワイトだった。おふくろが酒浸りで、家に男を連れ込んでいる。
 彼には窃盗癖があり、募金箱に手を伸ばしたというそれで8年喰らう。
 基地の司令の婦人が慈善事業に力を入れていて、募金箱を盗もうとするなんて言語道断という話から、半ば最高の刑を課せられてしまうのである。
 ニコルソンと彼の相棒、この場合は黒人だが、この若い兵士に少しでもいい目を見せてやろうと刑務所までの護送期間に羽目を外す。
 酒タバコ女。彼はまだ未成年だった。
 ジェーン・フォンダみたいな顎をした意識の高い女たちにパーティに誘われ、案の定不快な思いをし、夜の街で女を教える。
 相方に優しくしてもらった彼は、どうも惚れられたみたいだよとニコルソンに翌朝報告する。
 洗面所で薄くなった毛をなでつけていたニコルソンは、例の三白眼で
「そうかい」
 と答えていた。