さらば冬のかもめ。 
 
 
 
■ ニコルソンの映画を見返していて、別のことを考えていた。
 
「福島県は東北地方の最南端にある。面積は(略)、北海道・岩手県についで全国三位の広さを持つ。2000メートル前後の山々が連なる奥羽山脈が県域の中央を南北に走り、その東側の地域を低い阿武隈山地がさらに二分している。
福島県の七割は山地である。
この二つの山地によって、福島県は、東から浜通り(浜街道とも。双葉町・相馬郡・原町市・相馬市・いわき市)、中通り(仙道とも。略)、会津(略)の三つの地域に区分されている」

「浜通りは、阿武隈山地と海岸とのあいだの狭長な低地帯である。東流する諸川の河口では土砂が堆積し昔の内湾をうずめたてたので、北上山地の東海岸のリアス式海岸とは異なり、出入りのきわめて少ない海岸線となっている。
福島県は、東北地方のなかでは比較的気候にめぐまれているといわれるが、大部分が山地であるから、高経度のところはかなり低温となり、きびしい気候となる。
しかし、浜通り地方は降雪も少なく、雪が降っても早くとけてしまう。夏の気温もあまり高くならない」
(「福島県の歴史」丸井佳寿子・工藤雅紀・伊藤喜良・吉村仁作著:山川出版刊:1997:2 頁) 
 
 
 
■ 略と書いたのは私。適宜改行を加えてある。
 それにしても、見事なイントロダクションである。まずは地理的条件を押さえ、気候に話が飛ぶ。句点の位置なども、ここ以外にはないだろうというところにある。
 執筆の方々は1931年から44年までの生まれ。それぞれ地元の大学で教鞭をとっておられた。