猫楠 2.
 
 
 
■ 長いレンズが珍しかったのだろう。
 または、この辺りで薄い色眼鏡をかけている大人をみたことがなかったのだろうかともおもう。
 神社の境内には屋根があり長椅子があり、町の集まりに使われている気配もないこともない。ブリキの灰皿もいくつかある。
 その横には多分楠の木だろうか、樹齢はかなりなものだろう枝振りと根が広がる大木が空にむかっている。
 廻りは玉砂利で、少年は自転車の後ろのブレーキだけをかける。
 ずずっと後輪がすべる。