猫楠。
 
 
 
■ 柳田国男のことをたぐっていると、南方熊楠にたどり着く。
 和歌山、紀伊半島が産んだ奇人というかやはり偉人なのだが、手元に資料が少なく、いたしかたなく水木さんの描いた漫画を壊れかけたソファの上で捲っていた。
 ドウシタラヨカロー、という按配である。
 
 
 
■ いつだったか、私は紀伊半島へ車で出かけた。
 熊野神社の下見というか、業界用語ではロケハンと格好をつけるものだけれども、自腹の旅である。
 思うところあって、熊野の手前で引き返す。
 途中名も知られぬ神社に入り、そこでカメラを取り出す。
 少年が自転車で遊びにきていた。
 よくみる光景とは違い、彼はヘルメットを被っていなかった。